【旧道フォトグラフス】・旧道に所縁のある一枚のカットを巡る小さな旅。

Vol、6   R274 西の里旧道 (北広島市西の里)      写真 文 ・ 久保 ヒデキ

(注・平成一三年年執筆、写真は平成一二年当時)

R二七四 西の里旧道 (北広島市西の里)

カット 文 ・ 久保 ヒデキ

 

 あまりに通いなれた道だと、周囲の違いに鈍感になるらしい。今まで左に見えていた景色が、ある日を境に右に変わり「あれっ?」と思うことがある。この旧道がそうだった。この坂を駆け上って左カーブを曲がると、左側に「山根園」というドライブインが現れる。ところが、ある日いつものように車を走らせると当の「山根園」は右側に現れた。偶然にも、新道切り替わりの時期に遭遇していたのだった。今思えば、ほかの景色も違っていたはずだし、道路自体も広くなっていた(当初は暫定二車線)ので、気づかない方がおかしいのだが・・・。でもその時は、結構衝撃的な出来事だった。

 

  札幌市内から東進し、日勝峠を越え道東方面へ抜ける国道二七四号線は現在、その一部を「日勝樹海ロード」と呼ばれ、標茶町を終点とする北海道内でも屈指の長大国道である。その歴史はまだ浅く、昭和三〇年代に一般道道一二号札幌夕張線として生まれたのがルーツになる。札幌市と隣あわせになる北広島市の西の里に、この旧道部分がある。後にこの区間は国道格上げとなり、平成元年ごろから、そのすぐ北側に山を削り取って直線化した四車線の新道が整備され、切り替わった。と同時に約一キロ弱のこの道路は、時間が止まったままである。市制施行により”北広島”市となってもなお”広島”と書かれた標識が、今でもこの坂道に残されているのだ。

 

  旧道自体は現在も付近住民の生活道路として利用されているようで、冬季間もきちんと除雪されている。利用者も割合多く区間も長くないので、案外この先もそのまま残るであろう、幸運な旧道かもしれない。

 

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