堀 淳一 アーカイブ 『堀 淳一 著書紹介』

※このページでは、堀淳一氏が書かれた地図や鐡道、旧道などにまつわる著書をご紹介いたします。

※ご紹介の書籍は、現在、絶版や版元在庫切れなど入手困難のものが含まれております。ご了承ください。

<1992~1994年に出版された著書のご紹介です。これより以前の著書については最下段のリンクよりお進みください>

『地図』  作品社/1994年(平成6)発行/¥1800(本体¥1748+税 当時)

 「地図の世界は広く、深い。とはいえ、エッセイないしエッセイ的な文章だけでもそのすべてを集めれば、それから地図の世界のかなりの隅々まで伺うことができると思われる。が、何分本書のサイズではそんなことは不可能である。しかし、その世界のあちこちの片鱗をかいまみて、へえー、こんなことがある(あった)のか、こんな人がいたのか、と、ちょっと、驚いていただくことぐらいはできるのではなかろうか。そんな本になっていれば、大変うれしい。」(著者 あとがき より)

※この本は、永井荷風、太宰治、寺田寅彦などの随筆家から「地図」をテーマにした文章を堀淳一氏の視点で集めたものです。

ISBN4-87893-866-8 C0395 P1800E

『わたしの北の川 源流・悠流のドラマ』  北海道新聞社/1994年(平成6)発行

/¥1800(本体¥1748+税 当時)

 「川の源流って、どうなっているんだろう? と思ったことはありませんか? でも、源流なんて、けわしい山の奥また奥、深い森の中の、未知もないところ――とても行ってみるのは無理、と、あきらめてはいませんか? しかし、あきらめるのは早いのです。もちろん、容易に人を近づけない山奥の源流、というのも、たくさんありますが、誰でもたやすく見に行ける源流、というのも、またたくさんあるのです。」(著者 はじめに より)

ISBN4-89363-738-X C0026 P1800E

『地図のワンダーランド』  小学館/1994年(平成6)発行/¥1500(本体¥1456+税 当時)

 「ここでもう一枚の戦前の地形図を見てみましょう。図Ⅳ・37は、一九三五(昭和一〇)年修正の五万分一図「札幌」の一部、前に地名のところで話が出た「月寒」付近です。当時はこれはまだツキサムではなくツキサップでした。右上から左下へのハッチが施されているところは、今の地形図では緑(二万五千分一の場合は黒)のアミで表されている「樹木に囲まれた居住地」なのですが、「月寒」という文字の左にあるそれは、どこかへんではないでしょうか?居住地は四角い形をしているのがふつうなのに、、このひょうたん形はなんなのでしょう? 「寒」(サップ)の字のすぐ南には道路でぐるりと囲まれた広大な草地がありますが、これも、なにかおかしい。まわりがことごとく畑か水田か果樹園という耕地なのに、こんなに広い草地がなぜ残されているのでしょう?」(本文 「亡霊たちの昔語り」 より)

ISBN4-09-387110-8 C0095 P1500E

『巡遊・北の小さな岬』  北海道新聞社/1993年(平成5)発行/¥1900(本体¥1845+税 当時)

 「この本は、北海道内の、私の”好きな”岬へのおさそいである。私が好きで”ない”のは、①観光客がゾロゾロと群れる岬。また、これとほとんど同じだが、土産物店、食堂、キャンプ場、展望台、というような人工施設で占められている岬。②国道その他の交通量の多い道路の脇がすなわち岬で、全く歩かずにすみ、しかも味わいに乏しい岬。③コンクリートやテトラポットで固められて、自然が大きく損なわれている岬。④大音量で流される歌曲や案内放送が風景を著しく害している岬(音も風景のうちである。人工音を垂れ流しにするのはせっかくの自然の音に妨害電波を入れるようなもので、自然風景を台無しにすること以外の何ものでもない)。したがって、、こういう岬はこの本からは除かれている。ただし例外が若干あるが、それらは岬そのものでなくて岬の背後・周辺に面白いものや味わい深い風景がある場合である。」(著者 はじめに より)

ISBN4-89363-704-5 C0026 P1900E

『ドナウ・源流域紀行 ヨーロッパ分水界のドラマ』  東京書籍/1993年(平成5)発行

/¥2200(本体¥2136+税 当時)

「オーストリアのリンツは、空が広く、白や淡い暖色の建物の多い、明るい町である。モーツァルトの交響曲「リンツ」の第一楽章第一主題の冒頭のような。メインストリートがドナウ川に突き当たる手前で左に入ると、古町(アルトシュタット)の狭い路地。さすがに古びていて翳りにも富むが、ヨーロッパの他の年にありがちな暗鬱さはなく、ふんわりとした光が石畳に拡散していて軽やかな雰囲気が漂う。そんな路地の続きの坂道を登ってゆくと、城址(シュロス)の公園。そこの黒々としたマロニエの葉かげの下からドナウ川を足もと直下に見下ろすのが、私は大好きだ。川の水は黄灰色で、決して美しくはない。しかし、その悠揚せまらぬ流れが、、磁石のように人を魅し、いったんそれに眼を落としたら最後、まるで吸いつけられたようになってしまうのである。」(プロローグ より)

 

ISBN4-487-79056-5 C0095 P2200E

『ケルトの島・アイルランド』  筑摩書房/1992年(平成4)発行/¥600(本体¥583+税 当時)

 「一見「何もない」ように見えるアイルランドも、五感をフルに働かせてゆっくり歩いてみれば、尽きない味わいで人のこころをゆたかにしてくれるのだ。それを「つまらない」とか「平凡だ」とか言うのは、要するに、そういう風景を味わう心がない、ということにすぎない。「霧のかなたの聖地」を読んでくださったのは、その心を持つ方々なのであろう。少数の熱烈なアイルランドファンの方々がおられることは知っていたが、どうやら必ずしも「ごく少数」ということでもないらしい。それが私の「うれしい驚き」だったのである。」(著者 文庫版へのあとがき より)

 

※この作品は、一九八七年六月二五日、筑摩書房より刊行された。(原題 霧のかなたの聖地+アイルランドひとり旅)

ISBN4-480-02646-0 C0126 P600E

『忘れられた道 北の旧道・廃道を行く  北海道新聞社/1992年(平成4)発行

/¥1700(¥1650+税 当時)

 「廃道はいうまでもなく、放棄されて使われなくなった道路だが、使われなくなった瞬間から自然がめざましい勢いで復活しはじめるために、四季の草木のうつろい、鳥の囀り、虫の声、風の囁き、土や落葉の踏み心地、廃屋の哀愁などが、、こよなく五感をたのしませてくれる無上の散策路である。旧道の方はといえば、交通の主役を新道にゆずったとはいえ今も使われている道路だから、静けさと自然のゆたかさでは廃道には及ばないとはいえ新道に比べればぐーんとのびやかに歩くことができる。そして、生活道路として生きているため、沿道の人々の暮らしや息づかいが歩いていると伝わって来、その味わいが捨てがたい。そんな廃道・旧道をゆっくりと歩く楽しみ、クルマで突っ走ったのでは決して味わうことのできない深い風情。それらを少しでも多くの人々に知っていただければ、と思って、この本を書いてみた。」(著者 あとがき より)

0030-90115-7189

『地図 FOR BEGINNERS』  現代書館/1992年(平成4)発行/¥979(本体¥950+税 当時)

 「気軽に地図、地図と呼んでいるけれども、これらはほんとうに全部、地図と呼んでいいのだろうか? たとえば地下鉄の券売機の上にある料金を示す路線図。あれはいったい地図なのだろうか? それともただの図にすぎないのだろうか? 地図の入ったTシャツを着て歩いている人、地図入りの傘をさして歩いている人がいる。あのTシャツや傘に描かれている地図。あれはいったい地図なのだろうか? それとも単なる装飾模様にすぎないのだろうか? もしこれらが地図でないとするなら、じゃあ地図と地図のようで実は地図でないものとの境目はどこにあるのだろうか? これらの疑問を追求してゆくと、結局は「地図とは何なのか?」という問題に、最後はつき当たる。そして、それが分かれば、いままで並べた不思議や疑問は、全部すっきりと解消してしまう。この本ではそれを目指したいと思う。」(はじめに――地図とは何だろう より)

ISBN4-7684-0062-0 C0330 P979E